中国語を勉強するときに「中国人から教わる」というのは一見、正しい方法のように思えますが、実は落とし穴があります。今日はその落とし穴について解説したいと思います。
私は大学で中国語を教えているのですが、学生の中には半年~1年、中国留学し中国人から中国語をみっちり教わったにも関わらず、帰国後に「去qù」や「日本人rì běn rén」といった基本的な発音ができない学生がたくさんいます。
原因は簡単で、「中国人は中国語の発音方法を知らない」からです。
??と疑問に思った方もいるかと思いますが、例えば日本語の「に」の発音を英語でアメリカ人に伝えてくださいと言われたら、あなたは正しく発音を教えることができますか? 日本人にとって、「に」は「に」でしかなく、それを説明するとなると、日本語で説明するのも難しいですよね。それと同じことが中国人による中国語の授業で起こっているのです。中国人にとって、「qù」は「qù」、「rì」は「rì」でしかなく、それを日本語を母国語とする日本人に中国語で伝えるのは至難の業です。
また授業の多くは直接法という「中国語で中国語の授業」が展開されるので、中国人の先生がたとえ「qù」の発音を中国語でうまく説明できたとしても、中国語の勉強を始めたばかりの人が、中国語の説明を正しく聞き取り、実践するのは難しいでしょう。
発音を例に上げましたが、文法も同様です。中国人は(あなたが日本語を覚えたのと同じように)自然と中国語を覚えたため、文法をうまく説明することができません。また日本語という中国語に中途半端に似ている言語の特性上、中国語を学習する際にどうしても日本語の影響を受けてしまうのですが、中国語ネイティブの場合は、日本人特有の学習上の問題をうまく理解することができません。
つまり中国語を最速で学習するためには、「まず中国語を第二言語として学んだ日本人からインプットを中心に中国語を習い、中級以上の実力になってから、中国人相手にアウトプットを中心に学習する」と言うことができます。